塗料と大切なこと|株式会社ティップトップ(東京都足立区)
塗料と大切なこと
Types and characteristics of paint
外壁・屋根塗装の気になることの1つに「塗料の種類」が挙げられるのではないでしょうか。調べれば調べるほどわからなくなる、我が家にふさわしい塗料。
実は塗料選びよりも大切なことがあることをご存知でしょうか?
塗料の特性と大切なこと、併せてご紹介します。
主な塗料別に、耐用年数と費用をグラフにするとこのようになります。
高価な塗料ほど長持ちすることがおわかりいただけるかと思います。各塗料にはそれぞれメリット・デメリットがあるので以下にご紹介します。
その前に…
実はこの塗料の機能を十分に発揮できるかどうか、塗料選びの前に大切なことがあることはご存知でしょうか?
~塗装で本当に大事なのは“何を塗るか”ではなく“誰が塗るか”~
私たちの業界では、塗料は「半製品」と言われることがあります。
メーカーが出荷する時点で、製品(=塗膜)として完成していないためです。
では塗料はいつ完成するのでしょうか?
私たちのような職人が塗装作業を行い、乾燥させた後です。
塗装工事には数々の工程があり、作業中の職人の判断が仕上がりに大きく影響します。
下地処理
希釈・攪拌
気象条件
「下地処理をどこまで行うか」
「使う塗料は性能を最大限に発揮できる状態か」
「気象条件は塗膜が完成するまで相応しい状態か」
これらは作業中必要になる見極めのほんの一部です。
実は塗料の持つ機能は、これらの作業が正しく行われて、初めて発揮されるのです。
逆に言うと、せっかく高機能・高額な塗料を選んでも、作業が適切でないと機能が発揮されません。そしてそのことがわかるのは工事数年後…。
調査する目、お気持ちに沿ったご提案、塗装する職人の技術、心くばり…
塗装工事には常に「人」がいます。
本当に大切なことは“何を塗るか”ではなく“誰が塗るか”
最も重要なのは塗料選びよりも業者選びではないか、毎日塗装に携わる身としてそう思うのです。
皆さまの塗装工事の判断基準の一つになれば幸いです。
多くの工程を経て、初めて発揮される塗料の機能。続いて、各塗料の特性をご紹介します。
アクリル系塗料
耐用年数:4〜7年
アクリル系塗料の特徴
耐候性の低さから外壁の塗り替え時にはほとんど使われませんが、作業性に優れ、発色が良く価格が安いというメリットがあるので、DIY用塗料等に用いられています。
今でも期間が限定されている建物や建物新築時の塗装に、一部で使用されることもあるようです。
メリット
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作業性・発色が良い
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低価格である
デメリット
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耐候性が低い
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頻繁な塗り替えが必要
ウレタン系塗料
耐用年数:6〜10年
ウレタン塗料の特徴
1970年代以降、アクリル塗料に比べて耐候性が高く、比較的低価格であることから外壁塗装の主流だった時代もあります。より耐候性の高いシリコン系塗料が普及し価格差がなくなった現在、外壁塗装の塗料として選定されることは少なくなっています。
密着性に優れる性質から、今でも木部や鉄部、その他付帯部等の細かい場所へ多く使用されています。
メリット
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環境によってはそれなりの耐用年数を期待できる
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豊富な実績
デメリット
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より高機能なシリコン系塗料との価格差がほぼない
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高耐候なウレタン塗料は油性のものが多く、塗装時に臭いを発する
シリコン系塗料
耐用年数:8〜12年
シリコン塗料の特徴
ウレタン系塗料に取って代わり、かつては住宅塗装の標準グレードと言われた塗料です。住宅塗装に求められる高耐久・防汚といった機能をバランス良く備え、普及するにつれ価格が下がったことから広く支持を得ました。近年では住宅塗装の主流がより高性能なラジカル制御型(ハイブリッド)塗料に移行しつつあります。
メリット
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汚れにくい
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数多くの製品が開発されたため、選択肢が豊富
デメリット
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製品数が多いので、機能と価格が適切か見極めが必要
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より耐候性の高い塗料と価格差があまりない
ハイブリッドシリコン系(ラジカル制御型)塗料
耐用年数:10〜15年
ハイブリッドシリコン系塗料の特徴
2010年代より開発の進む、いま住宅塗装で主流とされているグレードの塗料です。
塗膜の劣化因子(=ラジカル)や、ラジカルを捉える添加剤(=HALSハルス)の名称を用いて、メーカーにより様々な呼び方があります。
それまでのシリコン系塗料と比べ高耐候性・低汚染性に優れ、価格が大差ないことから最も費用対効果の最も高い塗料と言われています。
メリット
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通常シリコンより耐用年数が長く、最もコストパフォーマンスが良い
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低汚染機能を備えている
デメリット
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比較的新しい塗料のため、実績の蓄積中である
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製品名がメーカーによって様々なので、比較がしづらい
フッ素系塗料
耐用年数:13〜20年
フッ素塗料の特徴
頻繁な塗り替えが難しいビルやマンション、大型施設によく用いられる塗料です。
高価でありながらも、その実績から耐候性と寿命の長さがしっかりと証明されています。
耐用年数が長く、長期的に見ると塗り替え回数を抑えられることから、住宅塗装でも注目されつつある塗料です。
メリット
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公共施設に採用され実証されている耐候性の高さ
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塗装箇所のメンテナンスサイクルを長くすることができる
デメリット
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1度の工事代金が高額になる
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塗膜が劣化するまで再塗装が難しい
無機系塗料
耐用年数:15〜20年超
遮熱塗料の特徴
フッ素系塗料の耐久性を凌ぐ次世代塗料として開発の進む塗料です。
耐候性・低汚染性ともに非常に優れ、成分の特徴から燃えにくいことも性質の1つとして挙げられます。汚れにくい反面、固い塗膜故に割れやすいといった懸念がありましたが、各社改善へ向けた開発が進んでいます。
メリット
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フッ素系塗料を凌ぐ耐候性
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超低汚染性
デメリット
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耐用年数が長く、他の部分とのメンテナンスサイクルを合わせられず割高になることがある
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塗膜が固いのでシーリング目地への追従性が他の塗料に比べて低い